子どもの風邪は、さまざまなウイルスによって起こる、とても身近な病気です。 多くの場合はお子さま自身の抵抗力によって少しずつ回復していきます。
ただし、同じ「風邪」のように見えても、年齢や体調、症状の経過によっては注意が必要なことがあります。 熱の高さや咳の回数だけでなく、元気さ、水分がとれているか、おしっこ(尿)が出ているか、 呼吸が苦しそうではないかなど、お子さまの全体の様子を確認しましょう。
子どもの風邪では、
次のような症状が見られます
- 発熱
- 咳
- 鼻水
- 鼻づまり
- くしゃみ
- のどの痛み
- 声がれ
- 食欲の低下
- だるさ
- 不機嫌
- 眠りにくさ
症状の出方には個人差があります
熱が高くても比較的元気に過ごせることがある一方、熱がそれほど高くなくても、ぐったりしている場合は注意が必要です。
風邪の主な原因
一般に「風邪」と呼ばれる症状の多くは、ウイルスへの感染によって起こります。
咳やくしゃみによる飛沫のほか、ウイルスが付着した手指や物に触れ、 その手で口や鼻、目などに触れることで感染することがあります。 園や学校などの集団生活だけでなく、家庭内で兄弟や保護者から感染することもあります。
帰宅後や食事前の手洗い、咳やくしゃみをするときの咳エチケットを心がけましょう。
風邪の経過
風邪の症状は、多くの場合、数日から1〜2週間ほどかけて少しずつ改善していきます。
最初に発熱やのどの痛みが現れ、その後に咳や鼻水が目立つなど、 途中で症状の出方が変わることもあります。
経過が変わったときは
一度よくなったあとに再び熱が出た場合や、日ごとに症状が強くなっている場合は、 風邪以外の病気や合併症が隠れていることもあります。このような場合は、医療機関へご相談ください。
お子さまの様子に合わせて、
受診のタイミングを確認しましょう
自宅で様子を見てもよい目安
生後3か月以上で、次の項目がすべて当てはまり、時間とともに状態が悪化していない場合は、 ご家庭でこまめに様子を見ながら、診療時間内の受診で間に合うことがあります。
- 元気があり、呼びかけにいつもどおり反応する
- 少し遊ぶ余裕がある
- 水分や母乳、ミルクがとれている
- おしっこ(尿)がいつもどおり、またはある程度出ている
- 呼吸が苦しそうではない
- 顔色や唇の色が悪くない
- ある程度眠れている
- 症状が急激に悪化していない
様子を見ている間も、元気さ、水分、おしっこ(尿)、呼吸、顔色に変化がないかをこまめに確認してください。
診療時間内の受診をおすすめする目安
次のような場合は、診療時間内に小児科へご相談ください。
- 発熱が続いている
- 一度熱が下がったあと、再び発熱した
- 咳や鼻水が長引いている
- 日ごとに咳が強くなっている
- 夜間に咳が強く、十分に眠れない
- ゼーゼー、ヒューヒューすることがある
- 水分や母乳、ミルクをとる量が減っている
- おしっこ(尿)の回数や量が少なくなっている
- 食欲が落ちている
- ぐずりや不機嫌が強い
- いつもより元気がない
- 生後3か月未満で発熱がある
- 持病があり、体調の悪化が心配される
- 保護者の方から見て「いつもと違う」と感じる
風邪と思われる症状でも、経過によっては別の病気が隠れていることがあります。
夜間・休日でも早めに受診するサイン
次のような状態がある場合は、夜間や休日でも早めに医療機関へ相談・受診してください。
- ぐったりして元気がない
- 呼びかけへの反応が弱い
- ずっとうとうとしていて起こしにくい
- 呼吸が速い、または明らかに苦しそう
- 肩を上下させながら呼吸している
- 息を吸うたびに、胸や肋骨の周囲がへこむ
- 安静にしていてもゼーゼー、ヒューヒューする
- 顔色が悪い
- 唇や顔が青紫色に見える
- 水分や母乳、ミルクをほとんど受け付けない
- おしっこ(尿)が極端に少ない、長時間出ていない
- 何度も吐いている
- けいれんを起こした
- 生後3か月未満で38℃以上の発熱がある
特に、呼吸が苦しそうな場合や、意識・反応、顔色に異常がある場合は、早急な対応が必要です。
迷わず119番へ連絡する目安
- 呼びかけても反応しない
- 意識がもうろうとしている
- 呼吸をしていない、または呼吸が弱い
- 唇や顔が青紫色になっている
- 呼吸が明らかに苦しく、ぐったりしている
- けいれんが5分以上続いている
- けいれんが止まっても意識が戻らない
風邪のときに
ご家庭でできるケア
水分を少量ずつ、こまめに
発熱や咳、鼻水があるときは、普段より水分が不足しやすくなります。一度にたくさん飲ませようとせず、水やお茶、母乳、ミルクなどを少量ずつこまめに与えてください。
食事がとれないときも、水分がとれているか、おしっこ(尿)が出ているかを優先して確認しましょう。
食事は無理に食べさせない
食欲がないときは、無理に食べさせる必要はありません。水分をとれていることを確認し、食欲が戻ってきたら、食べやすいものを少量ずつ与えましょう。
暑がっているか、寒がっているかを見る
熱の上がり始めに寒がり、手足が冷たいときは、衣類や布団で調整してください。
熱が上がりきり、顔が赤く、手足も温かくなっているときは、薄着にして室温を調整し、楽に過ごせるようにしましょう。汗をかいた場合は、冷えないように衣類を取り替えてください。
鼻水をやさしく吸ってあげる
赤ちゃんは自分で鼻をかむことができないため、鼻づまりが強いと、母乳やミルクを飲みにくくなることがあります。鼻水が多いときは、鼻の入り口付近にある鼻水を、鼻吸い器などでやさしく吸ってあげましょう。
特に授乳や食事の前、眠る前に行うと、呼吸が楽になることがあります。器具を鼻の奥まで無理に入れたり、何度も強く吸ったりしないようにしてください。
室内の乾燥を避ける
空気が乾燥していると、のどや鼻の不快感が強くなることがあります。室温や湿度を調整し、お子さまが過ごしやすい環境を整えてください。
加湿器を使用する場合は、こまめに清掃し、室内を過度に加湿しないよう注意しましょう。
無理をせず休ませる
発熱や咳があるときは、無理に外出したり、普段どおりに遊ばせたりせず、ゆっくり休ませてください。
元気が戻ってきたら、お子さまの様子を見ながら少しずつ通常の生活へ戻していきましょう。
風邪の薬について
抗菌薬はウイルスには効きません
子どもの風邪の多くはウイルスによって起こるため、抗菌薬はウイルスそのものには効果がありません。
診察の結果、細菌による感染症が疑われる場合には、必要に応じて抗菌薬を使用することがあります。 抗菌薬が処方された場合は、自己判断で中止せず、医師の指示どおりに使用してください。
以前の薬や兄弟の薬を使用しない
以前処方された薬や、兄弟に処方された薬を自己判断で使用しないでください。 同じような症状に見えても、年齢、体重、原因によって必要な薬や量が異なります。
市販の風邪薬を使用する場合も、事前に医師や薬剤師へご相談ください。
解熱剤はつらさを和らげるために使用します
解熱剤は、体温の数字だけを下げるためではなく、 つらさを和らげ、水分や睡眠をとりやすくするために使用します。
熱が高くても、比較的元気があり、水分がとれている場合は、必ずしも使用する必要はありません。 医師から処方された解熱剤を、指示された用法・用量で使用してください。
受診までに確認しておくとよいこと
診察時に次の内容をお伝えいただくと、お子さまの状態を確認する参考になります。
症状の経過
- いつから症状が始まったか
- 最初に現れた症状
- 発熱の有無と最も高かった体温
- 咳や鼻水の状態
- ゼーゼー、ヒューヒューするか
- 嘔吐や下痢の有無
水分・食事
- 水分や母乳、ミルクをどのくらいとれているか
- おしっこ(尿)の回数
- 食事の量
薬・そのほか
- 使用した薬と使用した時間
- 園や学校、家庭内で流行している感染症
- 持病やアレルギーの有無
咳や呼吸音は診察時に出ないこともあります。 可能であれば、ご家庭で気になる咳や呼吸の様子を動画で記録しておくと、診察時の参考になります。
よくある質問
風邪についてよくいただくご質問をまとめました。
風邪のような症状だけでも受診してよいですか?
はい。発熱、咳、鼻水などの症状があり、受診した方がよいか迷う場合もご相談ください。熱がなくても、呼吸が苦しそう、ゼーゼーしている、水分やミルクがとれない、ぐったりしている、咳が長引いている場合は早めの受診をおすすめします。
夜間に受診するか迷ったときは、どうすればよいですか?
夜間や休日に受診すべきか迷う場合は、子ども医療電話相談「#8000」で、小児科医師や看護師に相談できます。ただし、呼吸が明らかに苦しい、唇や顔が青紫色になっている、意識や反応がおかしい場合は、#8000を待たずに119番へ連絡してください。
風邪で受診を迷うときも
ご相談ください
風邪は子どもによく見られる病気ですが、保護者の方にとっては心配なものです。
症状の強さだけでなく、元気さ、水分、おしっこ(尿)、呼吸、顔色など、
お子さまの全体の様子を見ることが大切です。
チェック項目に当てはまらない場合でも、保護者の方が「いつもと違う」と感じることは大切なサインです。