お子さまが頭痛を訴えると、「脳に何か異常があるのではないか」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
子どもの頭痛の多くは、脳そのものに大きな異常がない「一次性頭痛」です。代表的なものに、片頭痛と緊張型頭痛があります。
一方で、頭痛の中には、ほかの病気が原因となって起こる「二次性頭痛」もあります。頭痛の強さだけでなく、いつ起こるか、どのくらい続くか、吐き気、ふらつき、見え方の異常などを伴っていないかを確認することが大切です。
一次性頭痛と二次性頭痛
頭痛は、大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分けられます。
一次性頭痛
脳や体に別の病気があるために起こるのではなく、頭痛そのものが主な症状となるものです。子どもに見られる代表的な一次性頭痛には、片頭痛と緊張型頭痛の2つがあります。
症状を繰り返すことがありますが、頭痛の特徴を把握し、適切に対応することで、日常生活への影響を減らせることがあります。
二次性頭痛
感染症や脳・神経の病気など、別の原因によって起こる頭痛です。突然始まった激しい頭痛、日ごとに悪化する頭痛、麻痺や意識の変化を伴う頭痛などは、早めの受診が必要です。
ご家庭で一次性頭痛か二次性頭痛かを完全に見分けることは難しいため、普段と違う頭痛や気になる症状がある場合はご相談ください。
片頭痛
ズキズキと脈を打つような痛みが見られます。 頭痛に加えて、吐き気や嘔吐を伴ったり、光や音を強く嫌がったりすることがあります。
- ズキズキと脈を打つように痛む
- 頭痛が強く、寝込むことがある
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 明るい光を嫌がる
- 大きな音や普段の音をつらく感じる
- 動くと痛みが強くなることがある
- 静かな場所で眠ると軽くなることがある
- 数時間で回復することがある
すべての症状がそろうとは限りません
頭痛が強いと、遊ぶことができず、暗く静かな場所で横になりたがることもあります。「急に元気がなくなり、暗い部屋で横になりたがる」「頭痛とともに吐いてしまう」といった様子も、片頭痛の手がかりになることがあります。
緊張型頭痛
頭全体を締め付けられるような、重い痛みが見られます。 片頭痛ほど強い痛みではなく、頭痛があっても、何とか学校や日常生活を送れることが多いのが特徴です。
- 頭全体が重く感じる
- 締め付けられるように痛む
- 圧迫されるような痛みがある
- 首や肩のこりを伴う
- 長時間同じ姿勢をとったあとに起こる
- 疲れやストレスが強いときに起こる
- 頭痛があっても、日常生活は何とか送れることが多い
- 痛みが長く続くことがある
本人が説明できないこともあります
姿勢、肩こり、疲れ、精神的な緊張やストレスなどが影響することがありますが、お子さま自身が「ストレスがある」「肩がこっている」とうまく説明できないこともあります。頭痛が起きた時間帯や、学校生活、姿勢、睡眠、疲れなども一緒に確認しましょう。
お子さまの様子に合わせて、
受診のタイミングを確認しましょう
自宅で様子を見てもよい目安
次の項目がすべて当てはまり、時間とともに状態が悪化していない場合は、 静かな場所で休ませながら、診療時間内の受診で間に合うことがあります。
- 以前にも同じような頭痛があった
- 休んだり眠ったりすると軽くなる
- 呼びかけにいつもどおり反応する
- 受け答えが普段どおりできる
- まっすぐ歩くことができる
- 手足の動きに異常がない
- しびれや麻痺がない
- 見え方に異常がない
- 繰り返し吐いていない
- 頭痛が日ごとに強くなっていない
初めて経験する強い頭痛や、これまでとは痛み方が違う場合は、無理にご家庭だけで判断せずご相談ください。
診療時間内の受診をおすすめする目安
次のような場合は、診療時間内に小児科へご相談ください。
- 頭痛を繰り返している
- 頭痛の回数が増えている
- 頭痛が以前より強くなっている
- 頭痛が長く続いている
- 学校を休む、早退することが増えている
- 頭痛のために勉強や遊びができない
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 光や音を強く嫌がる
- 頭痛で寝込むことがある
- 肩こりや姿勢の影響が考えられる
- 疲れやストレスとの関連が考えられる
- 市販の鎮痛薬を使う回数が増えている
- 薬を使っても改善しにくい
- 保護者の方から見て「いつもと違う」と感じる
頭痛が治まったあとに元気になる場合でも、繰り返し学校生活や日常生活に支障が出ている場合は、一度ご相談ください。
夜間・休日でも早めに受診するサイン
次のような頭痛がある場合は、夜間や休日でも早めに医療機関へ相談・受診してください。
- 突然、急激に始まった頭痛
- これまで経験したことのない激しい頭痛
- 痛みが日ごとに強くなっている
- 頭痛の回数が急に増えている
- 頭痛で夜中に目が覚める
- 早朝に強い頭痛がある
- 早朝に吐いてしまう
- 頭痛と嘔吐を繰り返している
- 手足や顔に麻痺がある
- 手足や顔にしびれがある
- まっすぐ歩けない、ふらつきがある
- 急に見えにくくなった
- 物が二重に見える
- 視野が欠けるなど、見え方に異常がある
- 意識がもうろうとしている
- 呼びかけへの反応が弱い
- 受け答えがおかしい
- 発熱に加えて首が硬く、動かしにくそう
- けいれんを伴っている
このような症状がある場合は、一次性頭痛ではなく、脳や神経、感染症などが原因となる二次性頭痛の可能性があります。症状が一度落ち着いても、早めに医療機関へご相談ください。
迷わず119番へ連絡する目安
- 呼びかけても反応しない
- 意識がもうろうとしている
- 呼吸をしていない、または呼吸が弱い
- 唇や顔が青紫色になっている
- 頭痛とともにけいれんを起こした
- 突然、片側の手足が動かしにくくなった
- 急に言葉が出にくくなった、受け答えができない
- 立つことや歩くことができない
頭痛が起きたときの対応
静かで落ち着ける場所で休ませる
頭痛があるときは、無理に学校へ行かせたり、普段どおりに活動させたりせず、静かな場所で休ませてください。
片頭痛では光や音をつらく感じることがあるため、照明を落とし、テレビやスマートフォンなどの刺激を避けると楽になることがあります。お子さまが横になりたがる場合は、無理に起こさず休ませましょう。
痛む場所を冷やす
ズキズキする片頭痛のような痛みでは、冷たいタオルなどで痛む場所を冷やすと楽になることがあります。冷やすことを嫌がる場合は、無理に続ける必要はありません。
保冷剤を使用する場合は、タオルなどで包み、皮膚に直接当てないようにしてください。
緊張型頭痛では温める
肩や首のこり、姿勢などが関係している緊張型頭痛では、首や肩を温めると楽になることがあります。入浴や温かいタオルなどで、無理のない範囲で筋肉の緊張を和らげましょう。
ただし、温めることで頭痛が強くなる場合は中止してください。
無理に我慢させない
頭痛は本人にしかわかりにくい症状です。外から元気そうに見えても、強い痛みや吐き気、光・音のつらさがある場合があります。
「気のせい」「我慢しなさい」と決めつけず、お子さまが痛みを伝えられるように声をかけてください。
鎮痛薬を使用するときの注意
鎮痛薬を使用する場合は、医師から説明された薬を、指示された用法・用量で使用してください。片頭痛では、痛みを長く我慢してからではなく、頭痛が始まった早い段階で使用した方が、症状を抑えやすいことがあります。
以前処方された薬や、兄弟・大人用の薬を自己判断で使用しないでください。
市販薬を使い続けないでください
市販薬を頻繁に使用し続けると、かえって頭痛が続きやすくなることがあります。次のような場合は、自己判断で薬を使い続けずご相談ください。
- 市販の鎮痛薬を使う日が増えている
- 薬を使っても効きにくくなっている
- 頭痛の回数が増えている
- 薬を飲まないと不安になる
- 学校や日常生活への影響が続いている
頭痛ダイアリーをつけましょう
子どもの頭痛を診断するうえでは、「いつ、どこが、どのくらい、どのような状況で痛むのか」を確認することが大切です。 頭痛を繰り返す場合は、頭痛ダイアリーをつけておくと、診断や治療の参考になります。
頭痛の様子
- 頭痛が起きた日
- 頭痛が始まった時間
- 痛みが治まった時間
- どのくらい続いたか
- 痛む場所
- ズキズキ、締め付けられるなどの痛み方
- 痛みの強さ
- 休んだり眠ったりすると改善するか
伴う症状
- 吐き気や嘔吐があったか
- 光や音を嫌がったか
- しびれ、ふらつき、見え方の異常がなかったか
薬・生活との関係
- 頭痛が起きたときに何をしていたか
- 学校や習い事、運動との関係
- 疲れやストレスがなかったか
- 睡眠の状態
- 使用した薬と使用した時間
- 薬を使用したあとの変化
- 学校や日常生活にどの程度影響したか
- ご家族に片頭痛があるか
毎回すべてを詳しく書く必要はありません。わかる範囲で記録を続け、受診時にお持ちください。 お子さま自身がうまく説明できない場合は、頭痛が起きたときの表情や行動、休んだあとの変化もお伝えください。
お子さまが「痛い」と
言える
環境をつくりましょう
子どもの頭痛は、外見だけでは痛みの強さがわかりにくい症状です。頭痛が治まると急に元気になることもあるため、「さっきまで痛がっていたのに」と、周囲から理解されにくいことがあります。
頭痛を訴えたときは、まずどのように痛むのかを聞き、無理をさせず休ませてください。
お子さまが安心して「頭が痛い」「光がつらい」「吐きそう」と伝えられる環境をつくることが、痛みのパターンを把握し、適切な治療につなげる第一歩です。
よくある質問
子どもの頭痛についてよくいただくご質問をまとめました。
頭痛が治まると元気になります。仮病ではありませんか?
頭痛は、痛みがある間は寝込んでいても、症状が治まると急に元気になることがあります。外見だけで痛みの有無を判断せず、お子さまが頭痛を伝えたときは、痛む場所や痛み方、伴う症状を確認してください。頭痛を繰り返す場合は、頭痛ダイアリーをつけてご相談ください。
子どもでも片頭痛になりますか?
はい。子どもにも片頭痛は見られます。ズキズキする頭痛、吐き気、光や音を嫌がる、暗い場所で横になりたがるなどの症状が手がかりになります。子どもの片頭痛は、休んだり眠ったりすると数時間で元気になることもあります。
夜間に受診するか迷ったときは、どうすればよいですか?
夜間や休日に受診すべきか迷う場合は、子ども医療電話相談「#8000」で相談できます。ただし、頭痛とともにけいれんを起こした、呼びかけても反応しない、急に手足が動かしにくくなった、言葉が出にくくなった場合は、#8000を待たずに119番へ連絡してください。