腸重積症

「10〜20分おきに激しく泣く」
「泣き止んでもまた繰り返す」
当てはまる場合は、速やかにご連絡ください。

腸重積症は、腸の一部が、隣り合う腸の中に「望遠鏡のように」はまり込んでしまう病気です。主に生後3か月から2歳頃のお子さまに多く見られます。

はまり込んだ部分の血流が悪くなり、時間が経つと腸が壊死してしまうことがあるため、一刻も早い治療が必要です。

「突然、火がついたように激しく泣く」「少しすると何事もなかったように落ち着く」という状態を繰り返す場合や、嘔吐、血便がある場合は、夜間・休日であっても速やかに医療機関へ連絡してください。

腸重積症が起こる仕組み

腸の一部が隣の腸の中へ入り込み、重なった状態になります。

腸重積症の仕組みを示した図。お腹を痛がって泣いている乳児と、その大腸の一部を拡大した図。拡大図では、小腸が大腸の中へ入り込んでいる様子が示されている。

腸の一部が隣り合う腸の中へ入り込んだ状態を示しています。

腸がはまり込むと、食べ物や消化液が通りにくくなるだけでなく、腸の血流も悪くなります。そのまま時間が経つと、腸の組織が傷つき、壊死してしまうことがあります。

早い段階で治療を始めることが、腸への負担を減らし、手術を避けるためにも重要です。

これが見られたら至急受診

腸重積症の3大症状

特徴的な3つの症状があります。ただし、3つすべてがそろうとは限りません。 次の症状が一つでも見られ、腸重積症が疑われる場合は、 血便が出るまで待たず、速やかに医療機関へご相談ください。

間欠的な激しい腹痛・強い不機嫌

腸重積症では、10〜20分おきに突然、火がついたように激しく泣くことがあります。激しく泣いたあと、痛みが一時的に落ち着くと、何事もなかったようにケロッとすることがあります。その後、再び激しく泣くという状態を繰り返すことが特徴です。

まだ腹痛を言葉で伝えられない乳幼児では、次のような様子が見られることがあります。

  • 突然、激しく泣き始める
  • 10〜20分おきに泣いたり落ち着いたりする
  • お腹をかばうように体を丸める
  • 足をお腹に引き寄せるような姿勢をとる
  • いつもとは明らかに違う泣き方をする
  • 周期的に機嫌が悪くなる
  • 痛みのない時間は比較的落ち着いている

泣き止んだあとに一度元気そうに見えても、同じような激しい泣き方を繰り返す場合は注意が必要です。

繰り返す嘔吐

何度も繰り返し吐くことがあります。最初は食べたものやミルクを吐きますが、腸の通りが悪くなると、次第に緑色の胆汁を吐くことがあります。次のような場合は、速やかに医療機関へご相談ください。

  • 何度も繰り返し吐く
  • 飲ませてもすぐに吐く
  • 吐く回数が増えている
  • 緑色のものを吐いた
  • 嘔吐とともに顔色が悪くなる
  • 嘔吐後にぐったりしている

緑色の嘔吐は、腸の通り道が塞がっている可能性を示す重要なサインです。

イチゴジャムのような血便

病気が進むと、血液と粘液が混じった、イチゴジャムのような赤黒い便が出ることがあります。ただし、血便は発症直後から必ず見られるわけではありません。

血便が出ていなくても、周期的な激しい腹痛や繰り返す嘔吐がある場合は、腸重積症を否定できません。イチゴジャムのような便や、血液が混じった便が出た場合は、夜間・休日でも速やかに受診してください。

まず確認すること

3つの症状が
すべてそろうとは限りません

腹痛・嘔吐・血便が3大症状とされていますが、最初からすべての症状が現れるとは限りません。 発症初期には、次のような変化だけが見られることもあります。

  • いつもと泣き方が違う
  • 周期的に不機嫌になる
  • 理由がわからないまま激しく泣く
  • 一度落ち着いても、再び激しく泣く
  • 顔色が悪い
  • いつもより元気がない
  • ぐったりしている
  • 嘔吐を繰り返す

保護者の方の「直感」が、いちばんの手がかりです

「血便が出ていないから大丈夫」「泣き止んだから治った」と判断しないことが大切です。「いつもと泣き方が違う」「周期的に不機嫌になる」といった保護者の方の違和感が、お子さまの腸を守る最も重要な手がかりになります。

受診の目安

腸重積症が疑われる場合は、
自宅で様子を見ないでください

腸重積症は、ご家庭でのケアによって治すことができる病気ではありません。 時間が経つほど、はまり込んだ腸の血流が悪くなり、腸が傷つく可能性が高くなります。

診療時間内でも、できるだけ早く受診する目安

次のような症状がある場合は、できるだけ早く医療機関へご相談ください。

  • 周期的に激しく泣く
  • 痛がったり落ち着いたりを繰り返す
  • 10〜20分おきに不機嫌になる
  • 何度も吐いている
  • 緑色のものを吐いた
  • イチゴジャムのような血便が出た
  • 顔色が悪い
  • ぐったりしている
  • いつもとは明らかに泣き方が違う
  • 保護者の方から見て「いつもと違う」と感じる

症状がすべてそろうまで待つ必要はありません。腸重積症が疑われる場合は、早めに医療機関へ連絡し、その指示に従ってください。

夜間・休日でも速やかに受診するサイン

次のような状態がある場合は、夜間や休日でも救急外来へ連絡し、速やかに受診してください。

  • 突然、火がついたように激しく泣く
  • 痛がる時間と落ち着く時間を繰り返す
  • 10〜20分おきに激しく泣く
  • 嘔吐を繰り返す
  • 緑色のものを吐く
  • イチゴジャムのような血便が出る
  • 血液が混じった便が出る
  • 顔色が明らかに悪い
  • ぐったりして元気がない
  • 呼びかけへの反応が弱い
  • お腹を抱えるようにして激しく泣く
  • 痛みのために動けない

「夜だから朝まで待とう」「休日だから次の診療日まで様子を見よう」と判断せず、躊躇せず医療機関へ連絡してください。

迷わず119番へ連絡する目安

  • 呼びかけへの反応が弱い
  • 意識がもうろうとしている
  • 呼吸が弱い、または呼吸の様子がおかしい
  • 唇や顔が青紫色になっている
  • 激しい腹痛で苦しがっている
  • 痛みのために動けない
  • 嘔吐が止まらない
  • 血便が出ている
  • 顔色が明らかに悪い
  • ぐったりしている

子ども医療電話相談「#8000」を待つ必要はありません。腸重積症が疑われ、保護者の方だけで安全に医療機関へ連れて行くことが難しい場合も、119番へご相談ください。

受診の準備

受診時に伝えていただきたいこと

医療機関へ連絡・受診するときは、次の内容を伝えられるようにしておくと、 お子さまの状態を確認する参考になります。

泣き方・腹痛

  • 症状が始まった時間
  • 最初に見られた症状
  • 何分おきに激しく泣くか
  • 痛がる時間と落ち着く時間を繰り返しているか

嘔吐・便

  • 嘔吐した回数
  • 吐いたものの色
  • 緑色のものを吐いていないか
  • 血便の有無
  • 便の色や状態

全身の様子

  • 顔色や元気の変化
  • ぐったりしていないか
  • 最後に食事やミルク、水分をとった時間
  • 最後に便やおしっこ(尿)が出た時間

写真は「余裕があれば」で構いません

便や吐いたものの色が気になる場合は、可能であれば写真を撮っておくと、受診時に状態を伝えやすくなります。ただし、撮影のために受診や救急要請が遅れないようにしてください。

腸重積症の治療

腸重積症は、発症からできるだけ早く治療を始めることが重要です。

非観血的整復術

発症から24時間以内であれば、多くの場合、手術をせずに治療できる可能性があります。肛門から空気や造影剤を入れ、圧力をかけることで、はまり込んだ腸を元の位置へ戻します。この治療を「非観血的整復術」といいます。

ただし、「発症から24時間以内であれば待ってもよい」という意味ではありません。時間が経つほど腸への負担が大きくなるため、腸重積症が疑われた時点で速やかに受診してください。

手術

発見が遅れた場合や、非観血的整復術で元に戻らない場合、腸の状態が悪い場合には、手術が必要になることがあります。腸の血流が長く途絶え、壊死している場合は、傷んだ腸の一部を切除しなければならないこともあります。

手術を避け、腸への影響をできるだけ少なくするためにも、早期の発見と治療が大切です。

よくある質問

腸重積症についてよくいただくご質問をまとめました。

激しく泣いたあと、ケロッとしています。様子を見ても大丈夫ですか?

腸重積症では、激しく泣いたあとに痛みが一時的に治まり、何事もなかったように落ち着くことがあります。その後、10〜20分ほどすると再び激しく泣く場合は、腸重積症に特徴的な症状の可能性があります。一度落ち着いたからと安心せず、同じ状態を繰り返す場合は速やかに医療機関へご相談ください。

症状が出てから24時間以内なら、少し様子を見てもよいですか?

いいえ。24時間以内というのは、早期に治療を受けた場合に、手術をせずに元へ戻せる可能性が高いという治療上の目安です。ご家庭で24時間様子を見るという意味ではありません。腸重積症が疑われる症状がある場合は、すぐに医療機関へご相談ください。

救急車を呼んでもよいですか?

激しい腹痛で苦しがっている、嘔吐が止まらない、血便が出ている、ぐったりしている、呼びかけへの反応が弱い場合は、迷わず119番へ連絡してください。保護者の方だけで安全に医療機関へ連れて行くことが難しい場合も、119番へご相談ください。

「いつもと違う」と感じたら、
速やかにご相談ください

腸重積症は、早めの対応が大切な病気です。 腹痛・嘔吐・血便の3大症状が、すべてそろうとは限りません。
「いつもと泣き方が違う」「周期的に不機嫌になる」「吐き方が強い」「顔色が悪い」といった 保護者の方の違和感は、早期発見につながる大切な手がかりです。

予約を待たず、
お電話でご連絡ください

疑わしい症状がある場合は、ご家庭で長く様子を見ず、夜間・休日であっても速やかに医療機関へ連絡してください。