溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌という細菌によって起こる感染症です。 主に学童期のお子さまに多く見られ、急な発熱や強いのどの痛みを主な症状とします。
首のリンパ節が腫れる、舌が赤くブツブツする「いちご舌」が見られる、 体や手足に細かい発疹が出ることもあります。
溶連菌感染症では、
次のような症状が見られます
- 急な発熱
- 強いのどの痛み
- のどや扁桃の赤み・腫れ
- 扁桃に白い付着物や膿が見られる
- 首のリンパ節が腫れる
- 舌が赤くブツブツする「いちご舌」
- 体や手足に細かい発疹が出る
- 頭痛
- 腹痛
- 食欲の低下
のどの中の様子
溶連菌感染症では、のどの奥に特徴的な変化が現れます。写真では、次のような所見が確認できます。
- 扁桃の腫れと赤み
- 扁桃の白い付着物(白斑・膿栓)
- 口蓋垂の腫れ
- のどの奥の赤みと点状の出血
- いちご舌
実際には、これらがすべてそろうとは限りません。
症状の現れ方には個人差があります
すべての症状がそろうとは限りません。風邪のように見えることもありますが、のどの痛みが強い場合や、発熱と発疹を伴う場合は、溶連菌感染症の可能性があります。
原因と感染経路
溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌への感染によって起こります。 感染した人の咳やくしゃみによる飛沫や、唾液や鼻水が付着した手指や物を介して感染します。
家庭内や園、学校などの集団生活で広がることがあるため、 周囲で溶連菌感染症が確認されている場合は、受診時にお伝えください。
発熱やのどの痛みがあるときは、
全体の様子を確認してください
- 水分を少しずつでも飲めているか
- 食事や水分を飲み込めているか
- おしっこ(尿)がいつもどおり出ているか
- 元気や呼びかけへの反応があるか
- 呼吸が苦しそうではないか
- 顔色や唇の色が悪くないか
- 発疹が出ていないか
- 発疹が広がっていないか
- 舌が赤くブツブツしていないか
- 首のリンパ節が腫れていないか
- 家族や園、学校で溶連菌感染症が流行していないか
早めの受診が必要な状態
のどの痛みが強く、水分を飲むことが難しい場合は、早めに医療機関へご相談ください。
お子さまの様子に合わせて、
受診のタイミングを確認しましょう
診療時間内の受診をおすすめする目安
次のような場合は、診療時間内に小児科へご相談ください。
- 急な発熱がある
- 高熱が続いている
- のどの痛みが強い
- 食事や水分をとりにくい
- 扁桃に白い付着物や膿が見られる
- 舌が赤くブツブツしている
- 体や手足に細かい発疹が出ている
- 首のリンパ節が腫れている
- 頭痛や腹痛を伴っている
- 家族や園、学校で溶連菌感染症が確認されている
- 保護者の方から見て「いつもと違う」と感じる
症状だけで溶連菌感染症かどうかを判断することは難しいため、気になる症状がある場合はご相談ください。
夜間・休日でも早めに受診するサイン
次のような状態がある場合は、夜間や休日でも早めに医療機関へ相談・受診してください。
- 水分をほとんど飲めない
- つばも飲み込めない
- おしっこ(尿)が極端に少ない、長時間出ていない
- ぐったりして元気がない
- 呼びかけへの反応が弱い
- 呼吸が速い、または苦しそう
- 顔色が悪い
- 唇や顔が青紫色に見える
- 発疹が急速に広がっている
- 症状が急激に悪化している
迷わず119番へ連絡する目安
- 呼びかけても反応しない
- 意識がもうろうとしている
- 呼吸をしていない、または呼吸が弱い
- 唇や顔が青紫色になっている
- 呼吸が明らかに苦しく、ぐったりしている
- けいれんが5分以上続いている
溶連菌感染症の検査
溶連菌感染症が疑われる場合は、のどを綿棒でぬぐい、迅速検査を行うことがあります。 迅速検査では、短時間で結果を確認できます。
発熱やのどの痛みがあっても、原因が必ず溶連菌とは限りません。 症状、のどの状態、発症からの経過、周囲の流行状況などを確認したうえで、 医師が検査の必要性を判断します。
溶連菌感染症の治療
溶連菌感染症では、抗菌薬による治療を行います。 主にアモキシシリンなどの抗菌薬を使用し、症状やお子さまの状態に応じて、 医師が薬の種類や内服期間を判断します。
抗菌薬を飲み始めると、発熱やのどの痛みが比較的早く改善することがあります。
症状が軽くなっても飲み切ってください
症状が軽くなっても、菌が完全にいなくなったとは限りません。自己判断で薬を途中でやめず、医師から指示された日数分を最後まで飲み切ってください。抗菌薬を飲んでいても症状が悪化する場合や、発熱やのどの痛みが改善しない場合は、再度ご相談ください。
溶連菌感染症のときに
ご家庭でできるケア
水分を少量ずつ、こまめに
発熱やのどの痛みがあると、水分をとる量が減りやすくなります。一度にたくさん飲ませようとせず、水やお茶などを少量ずつ、こまめに与えてください。
水分がとれているかだけでなく、おしっこ(尿)が出ているかも確認しましょう。
食事は無理に食べさせない
のどの痛みが強いときは、無理に食べさせる必要はありません。
まずは水分がとれているかを優先し、食べられそうになったら、飲み込みやすいものを少量ずつ与えてください。
無理をせず休ませる
発熱やのどの痛みがある間は、無理に外出したり、普段どおりに運動させたりせず、ゆっくり休ませてください。
抗菌薬を最後まで飲み切る
症状が改善しても、抗菌薬を自己判断で中止しないでください。
飲み忘れた場合や、薬を吐いてしまった場合の対応は、医師や薬剤師へご相談ください。
家庭内での感染を防ぐために
溶連菌は、咳やくしゃみの飛沫や、唾液・鼻水が付着した手指などを介して感染します。帰宅後や食事前に石けんと流水で手を洗い、咳やくしゃみをするときはティッシュや腕で口と鼻を覆いましょう。
鼻水や唾液を拭いたあとは手を洗い、コップや食器、タオルの共用はできるだけ避け、よく触れる場所を清潔にしてください。ご家族にも発熱やのどの痛みなどの症状がある場合は、医療機関へご相談ください。
受診までに確認しておくとよいこと
診察時に次の内容をお伝えいただくと、お子さまの状態を確認する参考になります。
発熱・のど
- いつから症状が始まったか
- 発熱の有無と最も高かった体温
- のどの痛みの程度
- 首のリンパ節が腫れていないか
発疹・そのほかの症状
- 発疹の有無と出始めた場所
- 舌が赤くブツブツしていないか
- 頭痛や腹痛の有無
水分・薬・そのほか
- 水分や食事をどのくらいとれているか
- おしっこ(尿)の回数
- 使用した薬と使用した時間
- 家族や園、学校で溶連菌感染症が確認されているか
発疹の状態は、診察時には薄くなっていることがあります。 可能であれば、発疹がはっきりしているときに写真を撮っておくと、診察時の参考になります。
登園・登校の目安
適切な抗菌薬による治療を開始してから24時間程度は、登園・登校を控えてください。 次の状態がそろっていることが、再開の目安です。
- 抗菌薬による治療開始から24時間以上が経過している
- 発熱が治まっている
- のどの痛みが落ち着いている
- 元気や食欲が戻っている
- 全身状態がよい
園や学校によって独自のルールが設けられている場合があります。 登園・登校を再開する際は、園や学校の規定と主治医の指示をご確認ください。
治療後も注意したい症状
溶連菌感染症は、適切な治療で改善することが多い病気です。 ただし、まれに感染から数週間後に、急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症が見られることがあります。
- おしっこ(尿)が赤色や褐色に見える
- おしっこ(尿)の量が減っている
- まぶたや顔、手足がむくんでいる
- 関節を痛がる
- 発熱が再び見られる
- ぐったりしている
- 動悸や息切れを訴える
飲み切ったあとも、変化があればご相談ください
治療後に上記のような症状が現れた場合は、早めに医療機関へご相談ください。 抗菌薬を指示どおりに飲み切った場合でも、治療後に気になる変化があればご相談ください。
よくある質問
溶連菌感染症についてよくいただくご質問をまとめました。
溶連菌感染症と風邪は、家庭で見分けられますか?
発熱やのどの痛みなど、風邪と似た症状が見られるため、ご家庭だけで見分けることは難しいものです。強いのどの痛み、いちご舌、細かい発疹、首のリンパ節の腫れなどがある場合は、溶連菌感染症の可能性があります。診断には、のどの状態の確認や迅速検査などが必要になることがあります。
抗菌薬を飲み始めても、熱が下がりません。どうすればよいですか?
抗菌薬を飲んでいても発熱やのどの痛みが改善しない場合や、症状が強くなっている場合は、再度ご相談ください。薬の効果だけでなく、別の病気が隠れていないか、お子さまの全体の状態を確認します。
夜間に受診するか迷ったときは、どうすればよいですか?
夜間や休日に受診すべきか迷う場合は、子ども医療電話相談「#8000」で相談できます。ただし、呼吸が明らかに苦しい、唇や顔が青紫色になっている、意識や反応がおかしい場合は、#8000を待たずに119番へ連絡してください。
溶連菌感染症で受診を迷うときも
ご相談ください
溶連菌感染症は、適切な治療によって改善することが多い病気です。
一方で、症状が軽くなっても抗菌薬を最後まで飲み切ることや、
治療後の体調変化を確認することが大切です。
チェック項目に当てはまらない場合でも、保護者の方が「いつもと違う」と感じることは大切なサインです。